時々、「互換インクカートリッジは違法なのでしょうか?」という質問を見かけます。
結局、プリンタの互換インクカートリッジって、違法ではないのですか?|ヤフー知恵袋

互換インクメーカーとプリンターメーカーの間では、過去に何度も裁判が行われていますし、現在係争中の裁判もあります。裁判の内容や今後の展開をまとめてみました。

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互換インクは違法?

互換インクの製法が純正インクの特許に触れていなければ、何の問題もありません。

互換インクメーカー vs プリンターメーカー

ほとんどの裁判では、特許権の侵害について争われています。互換インク自体の存在を否定するような裁判ではありません。プリンターメーカー側の特許を、互換インク側が侵しているかどうかが争点となっています。

互換インクはプリンターメーカーの天敵?

よく例えられていて、判りやすいのが、車のエンジンオイルの話です。

例えば、トヨタの車用として、トヨタ純正品のオイルがありますが、非純正オイルも売られています。自分の車に非純正オイルを入れるのは個人の自由ですし、車メーカーから訴えられるような事ではありません。

しかしながら、日本のプリンターメーカーのビジネスモデルは、プリンター本体を安価で提供して、純正インクなどの消耗品で利益を上げる仕組みな為、互換品のインクは邪魔な存在です。今後も互換インクメーカーとのイタチゴッコ的な争いは続くでしょう。

インク裁判・大きな二つの判決

リサイクルアシスト vs キャノン |エコリカ vs エプソンの訴訟

リサイクルアシストは敗訴が、エコリカは勝訴が確定しています。

リサイクルアシストの互換インクは、キャノンの特許権を侵害しているので違法であるとの判断が、2007年11月8日に最高裁判所で確定しました。

ところが、エコリカのリサイクルインク裁判では、逆にエプソンの持つ特許は無効との判断が下され、2007年11月9日に最高裁判所で確定判決が出されています。

色々な互換インクカートリッジがありますので、メーカー側は個別に訴訟を起こす事になります。それぞれ個々の製造方法や再生方法が、メーカー側の特許を侵害しているかどうかが争点になるので、このように違う判決になったのでしょう。

キヤノン対リサイクルアシスト社の最高裁判決につきまして・エコリカ社長日記

わずか一日違いで、まったく逆の判断が下されているのが面白いですね。現在、家電量販店などでは、エコリカ製の互換インクが堂々と販売されています。リサイクルボックスもあります。

現状と今後の展開

現在、キャノンプリンターの互換インクカートリッジを排除する仕組みは違法だとして、キャノンに対して、互換インクのプレジールと製造元のエステー産業が独禁法違反で提訴中です。

これからも、プリンターメーカー側が、ICチップや赤外線システムなどを新型インクカートリッジに導入して、互換インクが使いにくい対策をする一方、互換インク側も対応ICチップの開発や新タイプのカートリッジを出して来るなど、争いは続くのでしょうが、エコリカなどはシェアを年々延ばしているそうです。

日本のプリンターインク市場では、純正インクのシェアが圧倒的に多いそうですが、海外では逆に自分でインクを詰め替えて使用するのが主流となっています。今後は日本でも、安価で高品質な互換性インクが普及するのではないでしょうか。

(おわり)